空閑俊憲の日記

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岡崎仙人譚

『岡崎仙人譚』空閑俊憲

富士の高嶺に踊る仙人の日本一の彫刻は富士の噴火口に詰まったマグマを瞬間冷凍させる術のなせる技か術は心私は想像する仙人が創造する長くて太い前代未聞の巨大溶岩富士の空洞オブジェが地球母の産む日本児の臍の緒となり富士の傍らに並び立つのを一対の雌雄の像が湖面に映るのを80歳にて未だ胎児なり生きるべきか死すべきかハムレットに問うた二叉路の立札など補遺と横に捨て薪にして燃やしてしまえば良い一石仙人よ我が道を行け時間は轟々と大渦を巻く風の束となりあなたに向かって叫んでいる愛は霞となり藍となる変容の美学は時に漫画的な叫びとなるタンタン丹頂鶴の欠伸は天然記念物であるタンタンタン機織りは恩返しの声を発する枯木の下には乳を吸う胎児が埋まっている枯木に花の咲くごとく仙人の言動は奇跡的であるか御物補遺はモナリサの謎の微笑を覆う髭的存在であるか彼女はそもそも皇室の出であるか彼女は断髪し男になるべきか問いは消え愛は遺る笑いは心の谷に谺する壁蝨の生態は秘密ではない私たちが理想郷の扉の形を知らないのと同じである顕微鏡と望遠鏡との結婚は雌雄同体同士の誓いであった雌雄同体用言語が革新されるだろう新しいファッションがくしゃみのような服で飾られるだろう一石仙人よ







写真:岡崎和郎の作品から
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