空閑俊憲の日記

PurpleTaraPress © Toshinori Kuga,2008-2024

岡崎和郎展<補遺の庭>

岡崎和郎展<補遺の庭>

鎌倉の神奈川県立近代美術館ではいま岡崎和郎の先鋭な作品群が展示されている。半世紀以上こつこつと彼自身のやり方でオブジェを作りつづけてきた作者の<補遺の庭>を展望すると、私たちを取り巻いている三次元空間、さらに地球を取り巻いている宇宙の異次元へと私たちの夢を運んでくれる。かれの作品は通常の造形空間を越えて、日常的な事物、たとえばコップを支えている内部と外部、表裏の構造を一気に貫く作者の虚実に対する洞察力、記憶の具象化が、補遺という補足しながら完成へと向かうひとつの宇宙論に繋がっていることがわかる。かれの思想『補遺』は虚実の境界にあって、虚と実の両者を和解させる力を備えているようだ。
空閑俊憲

2010年9月11日(土)ー11月3日(水・祝)
http://www.moma.pref.kanagawa.jp
写真上から:展覧会用チラシ、葉書、チケット。9月11日のレセプション会場にて、岡崎和郎、私の姉・通子と姪の鈴山キナコ。

今日の美術? あんなものはゴミだ。ゴミの文化だよ。ー 岡崎

<招き猫>(2006年制作)はその題材がすでに民話や民間宗教の産物であるために、人類考古学上の検証に向かい合っているような独特の不思議さを醸し出している。かれが「オバQ」の補遺と呼ぶとき、それは大衆がそれとは知らずに見落としている、ユング流にいえば、集合的無意識や元型などを指しているのだろう。ー 空閑

<HISASHI>は天と地とを切り結ぶ動作によって、天と地の接点、境界線を表している。光と陰影がそこにはある。ー 岡崎