空閑俊憲の日記

PurpleTaraPress © Toshinori Kuga,2008-2014

Billy Joel: Uptown Girl

http://www.youtube.com/watch?v=KAJD0n_TnX8

私がイースト・ヴィレッジのロフトに住んでいた頃の話である。夕方遅くどこからかポップソングが流れてくるので窓に近づいてみると、南のワンブロック離れたふだんは薄汚いガソリンスタンドが明るい照明とネオンで飾られ、このビリー・ジョーエルのビデオ撮りの舞台になっていた。こうして動画をみると、ダンサーや歌手や美人モデルの顔の表情など撮影の細部がよくわかる。ここは2丁目あたりだからまさにダウンタウン、アップタウンガールが高級車のロールスロイスに乗ってやって来て男たちの欲情を煽るという曲の内容にぴったりである。3丁目には例のギャング、ヘルス・エンジェルスの巣があり、オートバイ2台のエンジン音と灯されたヘッドライトという発想も自然な感じがする。ヌードモデルのポスターを壁に貼る修理工たちの性向もよくとらえている。
このアルバムは1983年制作となっているから、私がちょうど結婚した年だ。27年前とは思えないほど窓を開けて眺めたこの撮影光景は今でも鮮明におぼえている。向かいのビルはシェルターで、浮浪者たちが往来していた。イースト・ヴィレッジ独特の底辺から滲み出る自由感と小便の臭いのする夏の夜であった。
若者よ、あっという間に27年の歳月は過ぎてしまう。きみがほんとうに心からやり遂げたいことに専念したまえ。真実を見きわめるために、流行からできるだけ距離を置きたまえ。